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夏場だからこそ知っておきたい!
「バッテリー」と「温度」の関係(後編)

前編ではバッテリーの構造について、おさらいしてきました。今回は、BYDならではの取り組み、そしてユーザーにとって重要な「バッテリー」と「充電」の関係について、前回に引き続き三上龍哉さんにお話を聞いてみました。

BYD Auto Japanのアフターセールス技術部門 シニアアドバイザーの三上龍哉さん

 前編では主に電気自動車におけるバッテリーの役割と温度の関係についてお話を聞いてきましたが、そこで話題に挙がったバッテリーの適正な温度範囲に収めるために、BYDではどのような対策を講じているのでしょうか。

 バッテリーは、充電時も放電時(走行時)も熱を持ってしまうもので、その特性自体はBYDのブレードバッテリーでも同様ですが、安定的な内部構造を持つブレードバッテリーは、熱によるトラブル発生のリスクが低いため、安全性が高いだけでなく、耐久性に優れている特徴があることはすでにお伝えした通りです。 

 とはいえ、よりバッテリーを効率的に活用するためには適正な温度を保つことも重要で、バッテリーの温度は「高すぎても低すぎても良くない」と三上さんは言います。

三上さん「充電によってバッテリーの温度が上昇しますので、“寒すぎない”時期が充電の観点では有利ですが、“冬は温め”“夏は冷やす”ことで、それぞれの季節でできる限り効果的な充電を行えるようにしています」

——BYDのクルマでは、どのようにバッテリーの熱をコントロールしているのでしょうか?

車内だけでなくバッテリーの温度管理も実現するインテグレーティッドモジュールは自社製

三上さん「バッテリーを適切な温度に保つための対応はメーカーや車種によってもさまざまで、空冷式や、冷却水によって適切な温度を保とうとする水冷式などが存在していますが、BYDの車両においては、車内を快適に保つために欠かせない存在のエアコンの冷媒を使用しています。
これによって車内と同じくバッテリーも“非常に速やか”に適切な温度に調整することが可能となっています。そのためBYDでは、お客様のお車のエアコンシステム動作点検も、非常に重要だと考えています」

急速充電中のBYD ATTO 3

 続いては、出先などでお世話になることが多い「急速充電器」についても、お聞きしました。

 自宅での普通充電とは異なり、短時間で多くの電力を充電することができる急速充電器は、高速道路のサービスエリアやパーキングエリア、自治体の施設にコンビニエンスストアなどさまざまな場所に設置されています。

 しかし、急速充電器といっても、充電できる出力に違いがあるほか、同じ出力でも機能が異なる場合があり、同じ時間充電したとしても、充電できる量に違いが出てきます。

急速充電器の機能の違い

 従来の急速充電器には無かった機能として「ダイナミックコントロール」「ブーストモード」「パワーシェアリング」という3種類の機能がありますが、これらは充電パフォーマンスに影響します。

 まず、「ダイナミックコントロール」機能は車両の状況に合わせて、常に最適な充電量を供給できるように綿密なコントロールがなされる機能で、最後に説明するパワーシェアリングに貢献する機能です。

 「ブーストモード」機能は、充電開始直後のみ高い出力で充電し、一定時間を過ぎると充電の出力が下がる機能です。最大出力90kWで、充電口が2口の充電器などに見られる機能で、高速道路のパーキングエリアやコンビニエンスストアなどに設置されるケースが増えてきました。

 そして最後が「パワーシェアリング」機能です。これは出力を複数の充電口に分配するもので、そこに接続されて充電する車両が増えれば増えるほど1台当たりの充電量が減ります。

 ここでお伝えしたいことは、先ほどご説明した「ダイナミックコントロール」です。BYD ATTO 3は「ダイナミックコントロール」対応車両ですので、このような「パワーシェアリング」機能を有した充電器で充電した場合、「ダイナミックコントロール」非対応車よりも、高出力の充電が可能になります。高速道路のパーキングエリアで見かける6口タイプの充電器などがこの機能を有しています。

90kW充電器 タイプ別の充電出力変化

 このように同じ出力表示の急速充電器であっても、機能によっては充電量が異なる場合がありますが、「パワーシェアリング」タイプで他車との出力分配が発生しないなど、特殊な条件でなければ、夏場の過酷な環境でも、最大出力90kWの充電器であれば30分間で30~34kWh程度の充電が可能です。

 そして、充電できる量はバッテリーの温度だけではなく、充電開始時のバッテリー残量も大きく影響し、満充電に近くなればなるほど充電できる量は減少してしまいます。これは空っぽの容器には蛇口を大きく開き、満タンに近い容器には蛇口を閉めるような仕組みを想像してもらえると分かりやすいかもしれません。ちなみに、前述の30分間の充電量も、充電残量が30%未満で充電を開始した際の数字です。

 三上さん曰く「充電器の出力にもよりますが、バッテリー残量が30%を切ってから急速充電を行うことがバッテリー性能維持の面でも、経済的な面でもオススメです。これは、急速充電の多くが充電時間に応じて課金される仕組みであるためです」とのこと。

 BYD ATTO 3は、安全性の高いブレードバッテリーに加え、温度管理システムによって温度管理がなされているので、時期を問わず安心してお使いいただけます。皆様もBYD ATTO 3と快適なe-Lifeをお過ごしください。

 前編、後編に分け、夏場だからこそ知っておきたい!「バッテリー」と「温度」の関係をお届けしました。購入を検討される際のご参考になれば幸いです。

(取材:2023年7月)