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BYD Manufacturer Stories.

vol. 5
BYDの「e-Platform 3.0」とは一体なんなのか?
(後編)

※画像はイメージ

「e-Platform 3.0」の特徴を3つの観点から見てみよう

みなさんこんにちは、自動車ライターの小鮒康一です。
前回はBYDのモデルたちに採用されているプラットフォーム、「e-Platform 3.0」の概要についてお伝えしましたが、今回はもう少しだけ深堀りしてみたいと思います。

デザイン性 効率性 安全性 そしてインテリジェンス

まずは電気自動車のみならず、クルマに乗るユーザーにとって非常に気になるポイントである安全性から。

その1「安全性」について

「e-Platform 3.0」では、バッテリーとしての安全性も高い「ブレードバッテリー」を採用していますが、これを床下に敷き詰めています。

BYD ATTO 3の床下に敷き詰められている板状のものがブレードバッテリー
※画像はイメージ

ブレードバッテリーは、釘刺し試験や圧壊試験、高温試験などをクリアした安全性の高いバッテリーであることは過去にご紹介しましたが、非常に高い強度も持ち合わせているバッテリーを床面に敷き詰めることで、高いボディ剛性と安全性を両立しているというワケなのです。

また重量物であるバッテリーを床面に配置することで、重心を下げることもでき、広い室内空間と共に安定した走りを同時に実現しているという点も特徴と言えるでしょう。この「e-Platform 3.0」は、ブレードバッテリーが生まれたからこそ実現したプラットフォームなのです。

なお、床下に搭載されるブレードバッテリーは搭載本数を変更することで多彩な航続距離を実現可能なシステムとなっており、最大1,000kmの航続距離に対応できる、という点も見逃せない特徴と言えるでしょう。

続いて、その2「デザイン性」について。

こちらもフラットな床面と長いホイールベースによって広い室内空間を実現することが可能となったため、外装のデザインに高い自由度を持たせることができるようになりました。

実は間もなく登場する「BYD ATTO 3」と、その後に控える「DOLPHIN」は全く同じ「e-Platform 3.0」を採用していますが、車種に合わせてプラットフォームのサイズ自体も変更できる柔軟性も持ち合わせているのです。

同じ「e-Platform 3.0」を採用したBYD ATTO 3とDOLPHIN

「BYD ATTO 3」はクロスオーバーSUV、「DOLPHIN」はコンパクトハッチバックと全く異なるスタイルを纏っていることからも、そのデザイン性の幅広さを感じていただけるハズです。

そして、その3「効率性」について。

「e-Platform 3.0」では、前回もお話したように電動パワートレインとして必要不可欠な8つのユニットを集約した「8イン1電動パワートレイン」を採用しています。これにより、軽量化や低コスト化はもちろんのこと、それぞれのユニットの伝達ロスなども最小限とすることでスペースの効率性だけでなく、性能としての効率性も向上させている点がポイントとなっています。

フロント部分には「8イン1電動パワートレイン」が驚くほどコンパクトに収納されている(写真はBYD ATTO 3のもの)

この辺りのユニットはBYDが自社で一括して開発・生産をしているからこと実現できたものとも言え、「インテリジェンス」面の向上にも繋がってきます。「インテリジェンス」面向上とは、回生(発電)充電制御や、バッテリーの温度管理システムなどの電気自動車としての根幹の部分はもちろん、車両の制御や各種運転支援システムなども綿密に統合制御することによって、より快適なドライビング体験を提供できるようになる、ということです。

これに関してもパワートレインを自社生産しているBYDの強みが遺憾なく発揮されている点であり、リリース後のアップデートなどにも対応しているということなので、購入した後も、まるでパソコンやスマホのように、進化が期待できるのは、従来のクルマにはなかった楽しみと言えるでしょう。

独自の「BYD OS」とは?

また、BYDの車両には「BYD OS」と名付けられたBYDが独自に開発したオペレーションシステムが搭載されています。これにより、車両を走らせるための情報はもちろんのこと、運転支援システムのセンサー類や道路の状況、ネットワークからの情報などを統合して処理することが可能となりました。

従来の車両では、機能ごとに異なるECU(Electirc Control Unit)が存在していることがほとんどでしたが、「BYD OS」が搭載されたことによって高凝集、低結合、高信頼性、低遅延という技術特性を体現できるようになり、クルマ自体の能力を素早くフルに発揮することで、結果的に安定して安全な走行を実現しているのです。なお、「BYD OS」は販売後の継続的なアップデートも可能とのこと。つまり、BYDの車両は購入がゴールではなく、スタートと言えるのかもしれませんね。

このようにクルマの根幹となる部分を、自社で開発・生産することで実現した「e-Platform 3.0」。

それによって、高い安全性やデザイン性、効率性、そして進化していく拡張性をも持たせているのがBYDの車両の特徴、と言えそうです。

(取材:2022年11月)

PROFILE

小鮒 康一 Koichi Kobuna

国産車好き自動車ライター。1979年生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後にフリーランスライターへ。国産旧車に造詣が深いが、現行車に関しても、変わらずアンテナを張り続けている。今年春まで電気自動車(2代目日産リーフ)を所有していた。